天と地に風薫る。
Naoyaです。
今日は二十四節気の7番目、立夏。いよいよ夏の始まりです。暦の上では、立夏から立秋の前日までを夏季としています。
この時期に吹く初夏の訪れを告げる風を「薫る」と形容しますが、この言い回しが日本的でとても風流に感じます。元々は漢語の薫風(くんぷう)という言葉が由来。実際、風が薫るわけではありませんが、僕の中では新緑の匂いのイメージです。海に吹く初夏の風も「薫る」と形容するそうですが、潮風よりも木や草を吹き抜ける風のイメージの方が強いです。
個人的には、この時期が一年の中で最も大好きです。
京都は桜や紅葉の季節が持てはやされて、その時期になると観光客がたくさん押し寄せます。でも、僕としてオススメの京都はちょうど立夏の頃。緑が鮮やかで美しく、風も爽やか。紅葉は青いときのが好きです。青紅葉。漢字で書くと、青と紅の字がぶつかり合っているような奇妙さがあります。暑さと寒さが厳しい京都において、この時期はとても過ごしやすい季節です。
5月5日は端午の節句です。旧暦時代に中国から伝わった五節句があって、端午の節句はそのひとつ。他は1月7日の人日(じんじつ)の節句、3月3日の上巳(じょうし)の節句、7月7日の七夕の節句、そして9月9日の重陽(ちょうよう)の節句です。
上巳の節句はいわゆる雛祭りで桃の節句、七夕の節句はそのまま七夕として現代にも残っています。人日の節句はほとんど馴染みがないと思うでしょうが、七草粥を食べる七草の節句のことです。古代の中国では、1月の元日から動物の占いが行われていて、1月1日は鶏を占い、2日は犬を、3日は羊、4日は猪や豚、5日は牛、6日は馬、そして7日は人を占っていたそうです。その7日目を人日の節句として、年の初めに摘んだ若菜を7種入れた七草粥を食べて邪気を祓ったそうです。昔は犯罪者に対する刑罰が行われなかった日でもあったんだとか。
五節句にはそれぞれ、所縁のある植物と邪気祓いの食べものがあります。昔ながらの風習がそのまま残っている節句と、形を変えて残っている節句、そしてほとんど残っていない節句がありますが、端午の節句はほぼそのまま残っています。
端午の節句には鯉のぼりを立てて、ちまきや柏餅を食べて、菖蒲湯に浸かるのが習わしです。うちの近所のスーパーの売り場にも、菖蒲の葉が売られていました。僕は子どもの頃、毎年自宅で菖蒲湯に必ず入っていましたが、最近の家庭でも入っているんでしょうか。
実は旧暦の5月は「毒月」と言われていたそうで、「五月忌み」ということで邪気を祓うために菖蒲の葉や蓬を軒に挿していたのだとか。菖蒲湯は菖蒲の香りが厄を祓うと信じられたものですが、成分的に打ち身や腰痛、肩こりなどにも効能があるそうです。菖蒲を尚武(武を尊ぶという意味)に引っかけて、いつしか端午の節句が男の子のお祝いの日になりました。
柏餅に使われる柏の木は古くから神が宿るとされていて、新芽が出ないと古い葉が落ちないため、子どもが産まれるまで親は死なないと解釈されて、子孫繁栄の象徴として縁起がよいとされているそうです。
ちなみに、柏餅は関東で食べられることが多く、ちまきは関西で食べられることが多いということを耳にしたのですが、実態はどうなんでしょうか。関東生まれの僕は、端午の節句にちまきを食べた記憶がありません。関西の友達にでも聞いてみようと思います。
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