ブレックネスの人魚

Maribrengaëlです。

スコットランド北部にあるオークニー諸島と言えば、ストーンヘンジより古いストーンサークルや遺跡などが点在する島々です。大小様々90近くの島々からなり、現在はその3分の1に人々が暮らしています。元々は先住民のピクト人に加え、北欧から渡ってきたヴァイキングが住み着いていたので、様々な文化を起源とする遺跡や遺物が多い場所です。今でもその発掘は続いていて、新たなストーンサークルや古代の集会場などが続々見つかっています。

私とオークニー諸島の出逢いは、とても不思議なものでした。昔から繰り返し夢でみる景色があり、ある時ふと思い立ってネットで検索してみると、オークニー諸島にあるホイ島の景色だったのです。それは海辺の断崖絶壁にあるThe old man of Hoyでした。夢でみたのは今ほど波によって削られていない状態のもので、その岩壁には謎の文字が刻まれているのが見えました。もちろん読めませんでしたが、調べてみるとそれは北欧系の古代文字であるルーン文字だということがわかりました。それを夢で繰り返し見た理由は今でもわかりませんが、私のインスピレーションのルーツもそのあたりにあるような気がして、それ以来色々調べています。ちなみに、場所がわかってからは、その夢は一度も見ていません。

このオークニー諸島は海に囲まれているゆえ、数々の人魚伝説があります。人魚と言えば、アンデルセンの人魚姫が有名なので、デンマークが起源と思われることも多いですが、あくまでも物語で、オークニー諸島のほうは古くからある伝承です。さらに北部にあるシェットランド諸島にも同じような人魚伝説が伝承としてあるそうです。

オークニー諸島に伝わる人魚はあざらしの化身で、海から上がってくるとあざらしの皮を脱いで人間になるというものです。そのため、あざらし人間とも呼ばれることもあり、起源はあざらしの毛皮を着たイヌイットだったのでは…と考えられたりもしています。人魚=女性のイメージが強いですが、男性の人魚も存在し、とても美しい姿で人間の女性を誘惑するそうです。

私が夢で見たホイ島の対岸に、オークニー諸島で一番大きな島であるメインランド島があります。その島の南西にあるブレックネス岬に(ストロムネスという町の南西側でオフィシャルの地名としてはもう残っていない)、有名な人魚の伝承があります。岬に住む青年が、緑の原っぱの先に延々と続く海岸の岩場で美しい人魚をに見つけて、彼女が脱いだ海の衣を隠し、海へ帰れなくした上で彼女を連れ帰り、ついには結婚しました。6人の子どもに恵まれましたが、彼女は子どものひとりに海の衣のありかを探らせて見つけ出し、突然海へ帰ってしまった、という伝承です。ブレックネス岬には、今でも残してきた子どもたちに向けて歌う人魚の歌声が聞こえると言われています。

人魚の物語は、結局普通の人間とは完全に結ばれることはできない、という哀しい結果になることが多いです。そして、その哀しさの中に魚座の質でもある不安定さや曖昧さ、儚さが表現されているような気がします。そして、そこには必ず別れが存在します。

ブレックネスの人魚は、青年のことは愛していたのかいなかったのか、それとも連れ去ったことをずっと恨んでいたのか、憎んでいたのか。わからないまま。でもきっと、それでいいのです。

Les Chronovoyageurs...

※日本時間 2/20 16:07 魚座新月となります。


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