ウルグ・ベクの天文台
Maribrengaëlです。
冬のいいところと言えば、空気が澄んでいて天体観測に適しているところです。占星術以前に天文学に興味があった私の原点は、冬の夜空を眺めることでした。子どもの頃、ハレー彗星ブームがあったので大きめの望遠鏡がある家も多かったのではないでしょうか。私もベランダから望遠鏡で眺めて、木星の縞々や土星の環を観測していた記憶があります。そして、今それは、惑星を現実のものとして考えることに繋がっています。これは自論ですが、惑星をフワフワした現実味のないものと捉えていると、占星術のメッセージもフワフワした現実味のないものになるような気がしています。惑星はそこにあるもの。そのサイクルや意味から私たちそれぞれの人生を紐解いている理由をさぐれば、けして逃避のためではなく、現実で生かすため、なのだと強く感じます。これは私が占星術を扱う上でのポリシーのひとつです。
ところで、私の行きたい場所のひとつに、ウズベキスタンのサマルカンドにあるウルグ・ベク天文台跡があります。ティムール朝の4代目君主だったウルグ・ベクの名前がついていますが、彼は優れた天文学者でもありました。この時期、天文学はイスラム社会ではとても盛んだったので、彼の他にもたくさんの天文学者が研究していた場所なのだそうです。1449年にウルグ・ベクが死去すると対抗勢力によって破壊され、1908年に考古学者によって発掘されるまでは、全く知られたいなかった場所です。この天文台には地下にまで続く観測施設があり、破壊された30mの上部を除いて、地下には今も六分儀の一部が残っています。これによって南中天を導き出し、子午面上の太陽の高さと天頂と赤緯からの距離を用いて、正午の正確な時刻を計算することができたと言います。1年の長さも、今わかっているものと誤差は1分程しかなく、その正確さがうかがい知れます。またこの天文台の観測によってつくられたのが「ウルグ・ベクの星表」です。1000を超える恒星の緯度、経度、光度が示されていて、サマルカンドから見えなかった星も完全網羅した「天文学大全」の元となったのは、この「ウルグ・ベクの星表」だと言われています。イスラムでは太陰暦が使われていたので、星だけでなく月のサイクルもかなり詳細に研究されていたようですが、やはり実物から紐解いたり、実感したり、解釈したりして得る情報の本物感は別格だと感じます。何十年かの盛況な時代を終え、一時は廃墟化し人の記憶から消え去っていた天文台は、何百年も経ても宇宙からの真理を教えてくれいるようです。
この「森羅万象の聲」は、この獅子座満月で6年目に突入します。これまでも、宇宙…つまり森羅万象から私なりに感じることを書いてきましたが、より一層それに纏わる興味深いお話を書いていこうと思っています。引き続き、よろしくお願いします。
Les Chronovoyageurs...
※日本時間 2/6 03:30 獅子座満月となります。
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