人生のちょっとした春休み。
Naoyaです。
今日は二十四節気の3番目、啓蟄(けいちつ)です。冬眠していた虫たちが目を覚まして、土から出てくる頃という意味です。
この時期の俳句の季語に「水温む」というのがあります。湖や川、池の水が温むことで、水辺の生き物たちや植物たちの活動や成長が始まります。昔の人たちは日常生活の中で水仕事をしながら、冬の間に冷たかった水が徐々に温んでいくことで、春の訪れを肌で感じていました。今では温かい水が水道から出るのが当たり前な家庭もあるので、そういう季節感は薄れてしまいました。
温かい春がやって来て、どんどん開放的な季節になっていこうとしている流れとは逆で、新型コロナウイルスの影響で、学校が突然休みに突入したり、在宅勤務になったり、あるいはさまざまなイヴェントが中止になったりもしていて、物理的な閉鎖感と共に精神的な閉鎖感も増しているようにも思えます。どこか晴れない、すっきりとしないモヤッとした気持ちがで世の中は満ち溢れています。
暖かくなるとどこかに出かけたくなるとか、ちょっとした遠出や小旅行に行きたくなるとか、活動のモチベーションが高まるのは、虫たちや生き物たちが春の訪れと共に活動を始めるのと同じく、真っ当な動物的本能だと思うのです。でも、それを自粛しなければならないとか、取りやめなくてはいけないというのは、動物的本能のリズムやサイクルが狂う原因になるように思えます。制限されるものも少なくなく、ストレスやフラストレーションが溜まりやすくなる今だからこそ、体や心の状態を自覚して、自分自身の心身を整えてバランスを取ることが必要です。
いざ「休みましょう」と突然言われても、どう休んでいいのかがわからないという人も多いかと思います。それは、常に稼働しなくてはいけないという強迫観念が自分の中にあるからかもしれません。稼働してないと生活ができなくなる、自分の価値がわからなくなる、幸せが手に入らなくなる。いろんな強迫観念です。
今回のように、自分の意思や力だけではどうにもできない不可抗力のようなこともあります。そんなときは、無理なくそのとき可能な範囲内で最大限に行動しつつ、それ以外の時間を人生のちょっとした春休みと捉えて、自分自身を整えるための休息に充てるのもいいのではないでしょうか。
暖かいと思ったら、いきなり気温が下がる日もまだまだあって、ただでさえバランスを崩しやすい季節。寒さと暖かさを繰り返して春になっていくことを「三寒四温」という言い方をしますが、実は「三寒四温」というのは間違いだそう。「三寒四温」とは本来、中国北東部や朝鮮半島での冬の気候を示す言葉。今の時期の日本の気候を表現する春の言葉ではないそうです。
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