その“凪”はよいものか
Maribrengaëlです。
バランスが整った人生を目標にしていった結果、何だか生きているのが楽しくなくなってしまった…そんな友人がいました。私は、自分にも過去に似たような経験があったので、「うんうん、わかるわかる」と聞いていたのですが、突然「楽しくないというか、苦しいでしょ?」と言ったら「…そうなの!!」と思わず涙があふれた友人。「何にも不満はないの。でも、こんなんでいいのかなーって、何だかよくわからなくて…」と。
友人の人生が、50/50でバランスが整っていたのか、20/80で整っていたのか、配分まではわかりませんが、とにかく仕事も私生活も安定的にうまくいっていて、健康であり、家族やその他の人間関係も問題はなかった、そんな感じだったと思います。全方向にうまくいってるがゆえに、ほころびがなさすぎて、人生全体が凪になったようにびくりとも動かなくなっていたのです。私は、「もう、自分の手で今のバランスをぶっ壊すしかないよね。いいものでもね」と言いました。
時々、破天荒な人生を送っている人のほうがイキイキしている時があります。久しぶりに会って近況を話す中で、「色々ありすぎて大変なの」と言いつつも、生きている実感を強く感じているのか目がキラキラ(ギラギラ?)輝いています。色々な出来事の中で、ピンチやトラブルなどネガティヴなことがあって、適度に自分という天秤がぐらぐら揺れているほうが、バランスが取れている状態のありがたみを感じやすいのだと思います。だからこそ、もし、凪のようにバランスがとれた人生に疑問を持つならば、自発的にそのバランスをぶっ壊す勇気も必要なのでは、と思うのです。わざわざ不安定な状況に身を投げる、というかなりの荒治療にはなってしまいますが。
友人はその時「転職する気もないし、どこからバランスを壊せばいいの?引っ越しか?」と言っていたのですが、その話の直後パートナーが突然蒸発し、数日後にロスで発見される(もちろん生きていましたが、色々ありました)という事件が起こり、仕事も手につかないほど憔悴しきりました。が、その事件によって逆に、友人の人生はびっくりするほど輝きを取り戻しました。友人の天秤が大きく揺れたことにより、これまでバランスが取れている状態は決してそうではなかったということがわかったのです。本当は何も不満がないのではなく、不満はあったとしてもバランスを崩すならば…と回避し続けていたことが多々あることで、不均衡なバランスが取れてしまっていました。だから苦しかったのだと。
事件後しばらくして会うと「色々大変すぎた」と言いつつも、目には輝きが戻っていて、パートナーとは別れる方向で話が進んでいることを教えてくれました。悲しかったのは三日間くらいで、その後は悲しさよりもわくわく感のほうが勝っていると。友人のスクエアの一角がなくなることで、新鮮さのあるトライアングルが出来上がっているようでした。
もうすぐ牡羊座のシーズンが終わるのですが、その対向の天秤座で満月となります。バランスが取れていることが必ずしもいいことではないのが人間の真理。同じバランスでいるのが苦しくなるようならば、勇気を出して自らそのどこかの一角を壊してみるのもアリです。
Les Chronovoyageurs...
※日本時間 4/17 3:56 天秤座満月となります。
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