いい日旅立ち
Maribrengaëlです。
東京から東海道新幹線に乗ると時々、山口百恵さんの「いい日旅立ち」がチャイムとして流れます。JRと「いい日旅立ち」の関係は、1978年、民営化前の国鉄時代へと遡ります。この歌はJR西日本のキャンペーンソングとして作られたものです。ただ、当時国鉄にはプロモーション費がまったくなく、某大企業2社にスポンサーをお願いしたそうです。(そのスポンサーの企業名がタイトルにしっかりと含まれている)ドラマティックで旅情的な歌詞と相まってこの歌は大ヒットしたのですが、時を経て2000年代初め、再びJR西日本のDISCOVER WESTというプロモーションで使われることとなります。今度は鬼束ちひろさんが歌う「いい日旅立ち・西へ」というリメイクバージョンでした。「西」というキーワードを強調して、一部を残して歌詞も変更しました。自分の過去を探しに西へ向かう女。そんな悲壮感のある風情を感じます。一方で東海道新幹線では、TOKIOの AMBITIOUS JAPAN!がチャイムとして流れるときもあります。これもキャンペーンの一環で作られた歌なんだそうですが、こちらは旅が始まるワクワクドキドキ感が溢れてきます。これは、JR西日本所有の車両=いい日旅立ち、JR東海所有の車両=AMBITIOUS JAPAN!の違いなんだそうです。
それにしても、鬼束ちひろさんバージョンの「いい日旅立ち」でも描かれている「西」というのは、何か特別な場所です。仏教では西には極楽浄土があるとされているし、Go westという言葉は、死や衰退を意味することがあります。それは、キリスト教でも西は太陽が沈む暗黒の地であり、誰も知らない最果ての土地であり、死と再生の場所とされていたからだそうです。何かの推理小説で読んだ「知ってるか?犯人はなぜか西へ逃げるんだよ」という刑事の言葉をついつい思い出してしまいます。
今回起こる牡羊座新月の一回目(2023年は牡羊座で新月が二回起こります)とほぼ時を同じくして春分が起こりますが、この時太陽は真西に沈みます。世界各地にある古代遺跡では、この春分の日に合わせて配置されているものが多くあります。その中でもメキシコのチチェンイッツァ遺跡のカスティーヨ(大ピラミッド)では、この日太陽が西に傾きその光が壁面に当たるとマヤ文明の至高神、ククルカン(羽毛を持つ蛇)の体が浮かびあがるようにできています。秋分の日も同じように真西から太陽が当たりますが、これから陽に向かう春分と陰に向かう秋分では、意味合いが違ったのだと感じます。春分の日、真西に沈む太陽は、復活・再生の力を宿しています。
この時期、私たちの日常にも、節目、別れ、終わりというものが多いです。ついそれにフォーカスして悲しさ、寂しさ、切なさに沈んでしまうこともあると思いますが、真西に沈んだ太陽は、次の日の朝には、新しく真東から昇ってきます。これは、まさに今が私たちにとって「いい日旅立ち」のタイミングであり、「終わりの始まり」でもあるということです。
Les Chronovoyageurs...
※日本時間 3/22 2:24 牡羊座新月①となります。
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